複雑で難易度が高い相続事件を,無事解決することができました。
お客様からは次の内容のお礼状をいただきました。
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「この度は本当にありがとうございました。
正直申し上げて、両親が残した遺産相続協議のやり直しはほぼ不可能だろうと諦めていました。
両親が守ろうとした田畑や親戚との付き合い、そして先祖の供養までも一切合切を捨てて、現預金だけを持ち去ろうとする長兄方のあまりの不誠実な姿に、長兄を信用して遺産放棄した私たち他の兄弟姉妹は何としても納得できずにいたものの、いくつか相談した先生方は、いずれも取り付く島もなく「それが今の法律の仕組み」だとおっしゃるばかりでしたから。
そんな時に先生にお会いできたのは、僥倖というより他ありません。
先生は私たちの実情をよく聞いてくださり、その上、現行の相続の判例・法律の仕組みに対する有力な批判があることを教えてくれました。
「今の法律の仕組み」に安住して批判的な意見を学ばず、コンピューターで代替えがきくような弁護士ばかりだ!と悲嘆していた私たちにとって、先生のご指摘は大きな自信となりました。そして、その法律的な根拠を自信にして、私たちは裁判も辞さない気持ちで相手方との調停に臨むことができたのです。お陰で、実質的には相続協議のやり直しに等しい譲歩を相手方から引き出すことができました。
ほとんど諦めていたことが実現できたのは、ひとえに先生のおかげです。
亡き両親も喜んでくれると思います。
本当にありがとうございました。」
- 2016/06/29
- 解決事例を追加しました(遺産分割の事実上のやり直しが認められたケース)
- 2016/01/14
- 顧客から感謝のお手紙をいただきました
- 2015/11/28
- 【講演】関西大学大学院「相続について」(谷井秀夫弁護士)
谷井秀夫弁護士が、2015年11月28日、関西大学大学院 院生合同学術研究大会において、「相続について~実務上の問題点を中心に~」と題する講演を行いました。
http://www.kansai-u.ac.jp/calendar/archives/2015/11/11261128.html
【講演項目】
1 相続税制の改正
2 相続開始後の流れ
3 相続放棄
4 よくある相続税対策の考察
5 生命保険の活用
6 こんなときにはもめやすい
7 不動産の分け方
8 寄与分
9 特別受益
10 遺言のメリット
http://www.kansai-u.ac.jp/calendar/archives/2015/11/11261128.html
【講演項目】
1 相続税制の改正
2 相続開始後の流れ
3 相続放棄
4 よくある相続税対策の考察
5 生命保険の活用
6 こんなときにはもめやすい
7 不動産の分け方
8 寄与分
9 特別受益
10 遺言のメリット
- 2015/09/10
- 相続事例,解決法の更新
当事務所が解決した相続事例(一見債務超過に思える相続財産について,遺留分減殺請求を行った事例)を追加しました。
http://www.souzoku-kangaeru.jp/jireilist/?id=1441881309-017675
http://www.souzoku-kangaeru.jp/jireilist/?id=1441881309-017675
- 2015/09/08
- Q&Aの更新(債務超過時の遺留分)
- 2015/03/27
- 平成26年12月12日最高裁判決(相続開始後に投資信託の償還金が被相続人名義口座に入金された場合に,共同相続人の一人が自己の相続分に相当する金員の支払を請求することはできないとした事例)
相続人が複数いる場合において,可分債権(分割して給付することができる債権)は相続と同時に法律上当然に分割され,各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継すると解されており,預金債権については各相続人が単独で相続分に応じて払戻請求をすることができるとの取扱が裁判実務上確立しています。一方,投資信託については,最高裁平成26年2月25日判決が,投資信託受益権は不可分債権であって相続開始と同時に相続分に応じて分割されることはないとしたため,各相続人が単独で自らの相続分に応じた口数の解約,払戻を請求することはできないと解されていました(2014年5月19日の記事参照)。
しかし,投資信託の分配金や信託期間終了に伴い口数に応じて支払われる償還金は販売会社の預り口座に入金されるため,相続開始後に入金された分配金や償還金について,可分の預り金債権に転化したとして預金と同様に各相続人が単独で払戻を請求できると解することができないかが問題となります。この点について,最高裁は,平成26年12月12日,相続開始後に元本償還金や分配金が発生し,それが預り金として販売会社における被相続人名義口座に入金された場合にも,かかる預り金の返還を求める債権は当然に相続分に応じて分割されることはなく,共同相続人の一人は,販売会社に対して自己の相続分に相当する金員の支払を請求することができない,と判示しました。この判例は,投資信託受益権につき,相続開始後の事情により不可分債権性が失われることはないとした点に意義があるといえます。
したがって,被相続人の保有していた投資信託が被相続人の死後償還され,預り金となった場合でも,償還前と同様,その帰属は遺産分割協議によることになります。
しかし,投資信託の分配金や信託期間終了に伴い口数に応じて支払われる償還金は販売会社の預り口座に入金されるため,相続開始後に入金された分配金や償還金について,可分の預り金債権に転化したとして預金と同様に各相続人が単独で払戻を請求できると解することができないかが問題となります。この点について,最高裁は,平成26年12月12日,相続開始後に元本償還金や分配金が発生し,それが預り金として販売会社における被相続人名義口座に入金された場合にも,かかる預り金の返還を求める債権は当然に相続分に応じて分割されることはなく,共同相続人の一人は,販売会社に対して自己の相続分に相当する金員の支払を請求することができない,と判示しました。この判例は,投資信託受益権につき,相続開始後の事情により不可分債権性が失われることはないとした点に意義があるといえます。
したがって,被相続人の保有していた投資信託が被相続人の死後償還され,預り金となった場合でも,償還前と同様,その帰属は遺産分割協議によることになります。
以上
- 2015/02/27
- 平成26年9月5日高松高裁決定(一般財団法人を特別縁故者とした事例)
【概要】
労災事故により全身麻痺となって長年介護付施設に入居し,入居中に死亡した被相続人の相続につき,同施設を運営する一般財団法人が被相続人の療養看護に努めた者として特別縁故者に当たると判断された。
【事実経過】
被相続人Aは,平成22年8月26日に死亡し,Aの相続人の存否が不明だったため,相続財産管理人が選任されたものの,相続人としての権利を主張する者は現れなかった。
Aは労働中の事故で首から下の全身に麻痺が残り,生前,X(労働災害で介護が必要となった者のために相談や援助を行っている一般財団法人)の運営する介護付施設に入居していたところ,XがAの特別縁故者であるとして,Aの相続財産の全部をXに分与するよう,家庭裁判所に申立を行った。
【争点】
一般財団法人Xが被相続人Aの「療養看護に努めた者」(民法958条の3第1項)として,特別縁故者に該当するか。
【裁判所の判断要旨】
Aは,首から下がほぼ麻痺状態で,約6年間,本件施設(Xの運営する介護付施設)に入居しており,その間,親族との交流があったとは認められず,本件施設において,日常生活についてほぼ全面的な介護や解除などを継続的に受けて生活してきた。
また,本件施設では,Aを適宜買い物やレクリエーションに連れ出すなどしていたほか,Aの実母が死亡した際には,その求めに応じて,葬儀や納骨,相続に関する手続などに便宜を図ったことが認められる。さらに,本件施設では,介護に関するA独自のサービスの要求や無理な注文にも職員が辛抱強く対応してきており,これによりAもほぼ満足できる生活状況であったことが認められる。
これらの事情によれば,XはAの療養看護に努めた者として,特別縁故者に当たると認めるのが相当である。
なお,Aは本件施設の入居中に利用料を支払ったと認められるものの,厚生労働者が利用者の収入等に応じて定めたものであって,実際の介護サービス等の程度や内容等を反映して定められた報酬であるとは認められない。また,仮に施設利用料と介護サービス間に対価関係が認められるとしても,それだけで前記の特別縁故者に当たらないと判断するのは相当ではない。
【コメント】
本件は一般財団法人が「特別縁故者」であるとの判断がされていますが,この点については,同様に市町村や各種法人を特別縁故者であると判断した審判例が一定数存在します(市を「特別縁故者」とした審判例として浦和家裁秩父支部平成2年6月15日,法人格を有しない県立の老人ホームを「特別縁故者」とした審判例として那覇家裁石垣支部平成2年5月30日参照)。
むしろ本件では,Aが本件施設の入居料を支払っていたことが問題となりました。つまり,特別縁故者制度は,もし被相続人が遺言の作成等を行っていたならば,被相続人と特別親しかった者や被相続人に対して貢献をしていた者に対して財産を与えるはずという推認が前提となっているので,報酬に応じて療養看護を行っていただけでは(対価関係がある場合には),特別縁故者に該当しないのではないかということが問題となりました。
これについては,看護師や介護士が正当な報酬の下,被相続人の療養看護を努めても,特別縁故者にはあたらないという考え方が一般的であり,本件の原審(松山家裁西条支部平成26年5月2日)も入居費用と施設のサービスの対価関係を指摘して,Xは特別縁故者に該当しないと判断しました。
しかし,本決定では,本件施設の入居料は厚生労働省が入居者の年収に着目して一律に定めたものであり,実際の介護サービスの内容を反映させた報酬ではないことを指摘して,本件ではXはそもそも正当な報酬を受領していないと認定しました。また,本決定は仮に対価関係が認められるとしても,それだけで特別縁故者に該当しないと判断するのは相当ではないとして,対価関係の有無が決定的な要素ではないとの考え方も示されており,実務上参考になると思われます。
なお,特別縁故者に該当するという判断がなされても,「相当と認めるとき」でなければ被相続人の財産の分与を受けることができませんが(民法958条の3第1項),本件では,財産の内容がXの予定している使途(社団の内規に従い福祉増進事業に使われる)に反しないことや,相続財産管理人が特に反対意見を述べていないこと等を考慮して,相続財産の全部をXに分与する旨の決定がされています。
労災事故により全身麻痺となって長年介護付施設に入居し,入居中に死亡した被相続人の相続につき,同施設を運営する一般財団法人が被相続人の療養看護に努めた者として特別縁故者に当たると判断された。
【事実経過】
被相続人Aは,平成22年8月26日に死亡し,Aの相続人の存否が不明だったため,相続財産管理人が選任されたものの,相続人としての権利を主張する者は現れなかった。
Aは労働中の事故で首から下の全身に麻痺が残り,生前,X(労働災害で介護が必要となった者のために相談や援助を行っている一般財団法人)の運営する介護付施設に入居していたところ,XがAの特別縁故者であるとして,Aの相続財産の全部をXに分与するよう,家庭裁判所に申立を行った。
【争点】
一般財団法人Xが被相続人Aの「療養看護に努めた者」(民法958条の3第1項)として,特別縁故者に該当するか。
【裁判所の判断要旨】
Aは,首から下がほぼ麻痺状態で,約6年間,本件施設(Xの運営する介護付施設)に入居しており,その間,親族との交流があったとは認められず,本件施設において,日常生活についてほぼ全面的な介護や解除などを継続的に受けて生活してきた。
また,本件施設では,Aを適宜買い物やレクリエーションに連れ出すなどしていたほか,Aの実母が死亡した際には,その求めに応じて,葬儀や納骨,相続に関する手続などに便宜を図ったことが認められる。さらに,本件施設では,介護に関するA独自のサービスの要求や無理な注文にも職員が辛抱強く対応してきており,これによりAもほぼ満足できる生活状況であったことが認められる。
これらの事情によれば,XはAの療養看護に努めた者として,特別縁故者に当たると認めるのが相当である。
なお,Aは本件施設の入居中に利用料を支払ったと認められるものの,厚生労働者が利用者の収入等に応じて定めたものであって,実際の介護サービス等の程度や内容等を反映して定められた報酬であるとは認められない。また,仮に施設利用料と介護サービス間に対価関係が認められるとしても,それだけで前記の特別縁故者に当たらないと判断するのは相当ではない。
【コメント】
本件は一般財団法人が「特別縁故者」であるとの判断がされていますが,この点については,同様に市町村や各種法人を特別縁故者であると判断した審判例が一定数存在します(市を「特別縁故者」とした審判例として浦和家裁秩父支部平成2年6月15日,法人格を有しない県立の老人ホームを「特別縁故者」とした審判例として那覇家裁石垣支部平成2年5月30日参照)。
むしろ本件では,Aが本件施設の入居料を支払っていたことが問題となりました。つまり,特別縁故者制度は,もし被相続人が遺言の作成等を行っていたならば,被相続人と特別親しかった者や被相続人に対して貢献をしていた者に対して財産を与えるはずという推認が前提となっているので,報酬に応じて療養看護を行っていただけでは(対価関係がある場合には),特別縁故者に該当しないのではないかということが問題となりました。
これについては,看護師や介護士が正当な報酬の下,被相続人の療養看護を努めても,特別縁故者にはあたらないという考え方が一般的であり,本件の原審(松山家裁西条支部平成26年5月2日)も入居費用と施設のサービスの対価関係を指摘して,Xは特別縁故者に該当しないと判断しました。
しかし,本決定では,本件施設の入居料は厚生労働省が入居者の年収に着目して一律に定めたものであり,実際の介護サービスの内容を反映させた報酬ではないことを指摘して,本件ではXはそもそも正当な報酬を受領していないと認定しました。また,本決定は仮に対価関係が認められるとしても,それだけで特別縁故者に該当しないと判断するのは相当ではないとして,対価関係の有無が決定的な要素ではないとの考え方も示されており,実務上参考になると思われます。
なお,特別縁故者に該当するという判断がなされても,「相当と認めるとき」でなければ被相続人の財産の分与を受けることができませんが(民法958条の3第1項),本件では,財産の内容がXの予定している使途(社団の内規に従い福祉増進事業に使われる)に反しないことや,相続財産管理人が特に反対意見を述べていないこと等を考慮して,相続財産の全部をXに分与する旨の決定がされています。
- 2014/10/10
- Q&Aの更新(相続の準拠法)
- 2014/08/28
- Q&Aの更新(相続の承認・相続放棄の取消し)
いったん行った相続の承認・相続放棄に対する撤回・取消しの可否についてQ&Aを更新しました。
http://www.souzoku-kangaeru.jp/qa/?id=1409193252-159446
http://www.souzoku-kangaeru.jp/qa/?id=1409193252-159446
- 2014/05/28
- Q&Aの更新(「相続させる」遺言と代襲相続)
特定の相続人に相続させる旨の遺言がなされたものの,相続発生時に推定相続人が死亡していた場合に,遺言の効力が代襲相続人に及ぶかについてQ&Aを更新しました。
http://www.souzoku-kangaeru.jp/qa/?id=1401238506-184831
この問題については様々な考え方がありましたが,近時の最高裁判決が基準を示していますので,遺言を作成するに際しては十分な配慮が必要になります。
http://www.souzoku-kangaeru.jp/qa/?id=1401238506-184831
この問題については様々な考え方がありましたが,近時の最高裁判決が基準を示していますので,遺言を作成するに際しては十分な配慮が必要になります。