受遺者が遺贈により取得した保険金を取り戻したケース
事案の概要
依頼者の姉が死亡しましたが、亡姉は、一部の財産を除き全てを世話になった人物に遺贈するとの公正証書遺言を作成していました。この遺言に基づき、亡姉を保険契約者兼被保険者、保険金受取人を法定相続人とする生命保険契約の保険金を、受遺者が依頼者に無断で受領していたことが発覚しました。
しかし、生命保険契約における保険金は、保険契約に基づき保険契約者が指定した保険金受取人に対して支払われるものであって、受遺者の財産とはならないため(最高裁昭和40年2月2日判決)、上記保険金は、保険金受取人である依頼者の財産であり、受遺者は保険金を遺贈によって譲り受けることにはなりません。
そこで、弁護士が受遺者と交渉することによって、上記保険金の全額を取り戻すことができました。
弁護士のコメント
相続においては、遺産に含まれない財産についてまで遺産として処理されてしまうケースが見受けられます。このような場合、時間が経ってしまうと立証が困難となったり、取り戻すべき財産が既に費消されてしまって取り戻すことが困難となったりしますので、早期に動くことが重要です。