「[5]相続による権利及び債務の承継に関する改正」
質問内容
Q1:相続による権利及び債務の承継に関する改正の概要について教えてください。
回答
1 改正の概要相続により法定相続分とは異なる割合にて権利や債務が承継されることがありますが,相続債権者などの第三者は実際にどのような割合にて承継されたのかを必ずしも把握できるわけではありません。そのような第三者の保護の観点から,次のような改正がなされました。
(1)権利の承継に関する改正(改正民法第899条の2)
①法定相続分を超える部分の権利承継については,権利承継の類型にかかわらず,登記などの対抗要件を備えなければ第三者に対してその権利承継を対抗(主張)できないこととなりました(同条第1項)。
②また,承継される権利が債権である場合について,対抗要件を備えるための手続きが簡易化されることとなりました(同条第2項)。
(2)債務の承継に関する改正(改正民法第902条の2)
相続債務について相続分の指定があった場合でも,相続債権者は各共同相続人に対して法定相続分に応じた権利行使ができるというものですが,これまでの実務上(判例上)のルールが明文化された形となります。
2 経過措置
上記(1)①,(2)の改正は,2019年(令和元年)7月1日以降に開始された相続について適用されます。
上記(1)②の改正は,同日以降に開始された相続だけでなく,同日以前に開始された相続についても適用されうるため,注意が必要です。詳しくは以下をご参照ください。
○相続による権利の承継に関する改正について教えてください。