「相続の承認・相続放棄の取消し」
質問内容
いったん行った相続の承認や相続放棄を、撤回したり取り消すことはできますか
回答
相続の承認または相続放棄は、いったん行ってしまうと撤回できないのが原則です(民法919条1項)。これは、承認や放棄の撤回を安易に認めると、被相続人の債権者や他の相続人の立場が不安定になってしまうからです。しかし、①未成年の者が法定代理人の同意を得ないでした場合(民法5条2項)、②成年後見人本人がした場合(民法9条)、③被保佐人が保佐人の同意を得ないでした場合(民法13条1項6号)、④補助人の同意が必要な場合に補助人の同意を得ないでした場合(民法17条1項4号)、⑤詐欺または強迫による場合(民法96条1項)等には、相続の承認または相続放棄を例外的に取り消すことが認められています(民法919条2項)。
なお、これらの規定に基づく取消しは追認をすることができる時から6か月以内、相続の承認または放棄のときから10年以内に行わなければならず、限定承認および相続放棄の取消しについては家庭裁判所への申述も必要なので、注意が必要です(民法919条3項、同4項)。