「「相続させる」遺言と代襲相続」
質問内容
祖母は、生前、私の父に対し、全ての遺産を相続させるとの遺言を作成していましたが、先に私の父が52歳で死亡してしまい、その半年後、祖母が80歳で死亡しました。
叔母(父の姉)は、父が先に死亡してしまったのだから、祖母の遺言は無効だと主張しています。
父の一人息子であり唯一の相続人である私が、父に代わって、祖母の遺産を全て相続することはできないのでしょうか。
回答
原則として、御祖母様の遺言により,貴方が御祖母様の全ての遺産を相続することとなりません。まず、遺言は、遺言者である御祖母様の死亡時から効力を生じるので、御祖母様が死亡された時点で、お父様が存命でなければ、全ての遺産をお父様に相続させるという効力は生じ得ません。
また、お父様の息子であり、代襲相続人にあたる貴方が、御祖母様の遺言により遺産を全て相続するか否かについてですが,近時の最高裁は,「代襲者その他の者に遺産を相続させる旨の意思を有していたとみるべき特段の事情のない限り,その効力を生ずることはないと解するのが相当である。」と判断しています(最高裁平成23年2月22日)。
従って,最高裁のいう「特別の事情」が認められない限りは,御祖母様の遺言により,貴方が全ての財産を相続することはできないということになります。
御祖母様が、貴方に全ての財産を相続させたいと思っておられたのであれば、後々のトラブルを避ける意味で,遺言の中に、お父様が先に死亡された場合には、貴方に全ての財産を相続させる、旨を明記した補充規定を設けておくべきでした。