「遺留分算定における遺産の評価基準時」
質問内容
遺留分の計算は、遺産のいつの時点の価額が基準になりますか。
回答
遺留分は、被相続人が相続開始に時において有した財産の価格を算定基準とします(民法1029条1項)。そして、相続は被相続人の死亡によって開始するので(同法882条)、被相続人死亡時の遺産の価額が遺留分の計算の算定基準になります。
また、遺産分割における遺産の評価時点は遺産分割時であり、遺留分の算定における遺産の評価時点と異なることも、注意が必要です。
(例)
Aは、平成20年5月頃Bに甲土地を生前贈与した。Aは平成23年6月頃に亡くなり、Aの相続人はBとCであった。Cは、平成24年5月に遺留分減殺請求権の意思表示をした。
甲土地の平成20年頃の価格は1500万円、平成23年頃は1000万円、平成24年は1200万円だったとする。
この場合、CがBに対して遺留分減殺請求をした場合、甲土地は、相続開始時(=Aの死亡時)である平成23年6月の価額として、遺留分算定の基礎となります。つまり本件では、甲土地は1000万円として扱われます。