「遺産分割までの管理について」
質問内容
同居していた母が亡くなりました。相続人は、同居していた長子である私の他にも、私の弟妹がいます。私は、遺産分割が行われるまで、母の遺産をどのように管理しないとならないのでしょうか。
回答
被相続人が死亡すると、遺産は相続人に承継されます(民法896条)が、相続人が複数いる場合は、相続財産の帰属が最終的に確定するまでに一定の期間がかかります。そこで、相続開始から相続財産の帰属主体が確定するまでの間、遺産を事実上保有している相続人は遺産の管理義務が生じます。その場合の相続人の管理義務の程度は、民法上、その固有財産におけるのと同一の注意をもって、相続財産を管理すべき義務(民法918条1項)とされています。
この場合の「管理」とは、相続財産の利用、保存、改良行為のことを指します。例えば、家屋等の修繕、相続の登記、期限の到来した債務の弁済、腐敗しやすい物の売却・換価などです。
なお、相続人のうちのだれが遺産を管理するかは、相続分の過半数で決することになります。設例においても、正式に「私」が遺産の管理をするために、他の相続人(弟妹)の同意を得て、全体の相続分の過半数の同意を得る必要があります。